東京都指定有形文化財

求道会館

きゅうどうかいかん


武田五一の和洋折衷

キリスト教会風の仏教寺院

 

  •  求道会館は、日本に初めてアールヌーボーやゼセッションを本格的に紹介したといわれる建築家・武田五一(たけだごいち)の設計。大正4年(1915)の上棟を伝える棟札が残されており、武田の代表作・山口県庁舎とほぼ同じ頃の作品です。

  •  施主の求道会は明治の宗教改革者・近角常観(ちかずみじょうかん)の創設した団体。近角は真宗大谷派の末寺に生まれましたが、若き日に大きな煩悶を抱き、苦悩の青年期を送りました。しかし後に親鸞上人による「絶対他力」の教えに導かれて開悟し、爾後、『歎異抄』を自己の信仰の中心に据え、確固たる法施(ほっせ)の道を歩み、同時代の人々に感化を与えました。
     そして欧州留学体験を踏まえ、自らの生きた宗教体験を青年学生と寝食を共にしながら語り継ぐ場として、東京・本郷の地に求道学舎を設立しました。また同時に広く公衆へ向けて信仰を説く施設として、学舎の敷地の中にこの求道会館を建設しました。



  • 平成8年より7年間にわたって修理工事が行われていましたが、平成14年6月に竣工しました。
  • 関東大震災による被害を受けた後に大規模な改修がなされていましたが、この時に改変された妻壁やバットレスの意匠は、今回の修理工事で推定当初形式へ復原されました。
  • 現在はコンサート、講演会などに活用されています。

    創建当初の求道会館 外観
    (写真提供 求道会)

    昭和末年頃の求道会館 外観
    (写真提供 求道会)

    今回復原された求道会館 外観



  •  求道会館は他の武田作品にもみられるように、かなり大胆な和洋折衷の意匠でまとめられています。
     仏教寺院本堂(浄土真宗)でありながらキリスト教会(バシリカ形式)風の構造形式を持ち、主要部はレンガ造(イギリス積み)、小屋組はハンマービーム形式の木造トラスが用いられています。それでいて大会堂内部には純日本風・檜造りの六角堂厨子を置き、二階ギャラリーには卍高欄(金属製)を巡らし、玄関ポーチの上部には二基の八角灯篭を乗せています。またその一方で正面ファサードにはアーチ型のステンドグラスを配し、細部の装飾にはユーゲント・シュティルやアール・デコの影響も感じられます。多方面に異彩を放った武田五一の才能が窺われる作品です。

  •  大会堂正面の六角堂厨子に祀られる本尊は阿弥陀如来であり、また二階小会堂には床の間に聖徳太子が祀られています。厨子が六角堂であるのは、親鸞上人が煩悶の末、京都の六角堂にお籠もりした故事に基づくものと思われます。また聖徳太子を祀るのは、そのお籠もりの際に、親鸞上人の前に聖徳太子の神霊が現れて「法然のところへ行け」と霊示したという故事によるものと思われます。

    求道会館 大会堂内部





  •  求道会館は平成16年(2004)、「第45回BCS賞(建築業協会賞)」の「特別賞」を受賞しました。
    「BCS賞」は「優秀な建築物をつくり出すためには、デザインだけでなく施工技術も重要であり、建築主、設計者、施工者の三者による理解と協力が必要である」という理念のもとに創設されたものです。このうち「特別賞」は、「環境への配慮、革新技術の適用、建物修復など伝統技術の継承、都市再開発の推進等に対する固有の課題への取り組みで特に優れている建築物を対象とする」ものです。求道会館は、今回の修復工事において、施主・設計監理者・施工者が一体となって取り組み、文化財建造物を再生し、動態活用を実現した点が高く評価されました。
    BCS -- 社団法人 建築業協会:http://www.bcs.or.jp/

    BCS賞 第45回(2004年)受賞作品:http://www.bcs.or.jp/prize/list/2004.html


 

所 在 地

東京都文京区本郷

 建立年代 

大正4年(1915)

修理工事

平成14年(2002)完了

見  学

毎月 第4土曜日 午後1時より公開ツアー有り
お問い合わせ:求道会館運営事務局
       TEL 5842-4803(月・水・金 13:00〜17:00)
       FAX 5842-5236

求道会館公式ホームページ: http://www.kyudo-kaikan.org/

 

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